愛、夢、笑顔というスローガンを使うことについて
広告って「愛」「夢」「笑顔」みたいなことを押しつけてしまう場合がある。この手のことを言ってしっくりするブランドとそうでないブランドがあって大抵が後者だと思う。普段の行いや社会に与えている影響とか、社員の態度や社風とかがかなり関係すると思うし、パチンコ会社に「夢」とか言われても困惑してしまう。
最近観た、Super Bowlでオンエアされた"Pay with Lovin'"というMcdonald'sのTVCMは、そういう意味では自分の中では後者に該当した。
これは、Super Bowl翌日の2/2-2/14までランダムに選ばれた人の飲食代金が無料になるという店頭キャンペーン広告。但し、選ばれた人は、そこで誰かに対して何らかの愛情表現をしなくてはならない。キスしたり、踊ったり、電話して"I Love You, Mom!"的なこと言ったり。これを観た時、「えっ、500円や1000円のためにこんなに恥ずかしいことしなければならないの?」と思った。
でも後日記事を見ると、みんな喜んで愛を表現している、とあった。仕込みかな?とも思ったけどアメリカ人は日本人と違うんだなとも思った。
A big kiss from our lucky customer who came in to #paywithlovin at @McDonalds #NJ today! 😗😙😚 pic.twitter.com/mU534blk2R
— McDonalds NYTriState (@McDNYTriState) 2015, 2月 2
でも、更にその後、結構な嫌悪記事をいくつも発見して、ちょっとホッとした。
Wall Street JournalのライターであるKate Bachelderは何も知らずにある朝、エッグマックマフィンを買うためにMcdonald'sに行くと、"Pay with Lovin'"に選ばれ、店員と一緒にコンガダンスを踊るよう求められた。顔から火が出るほど恥ずかしかった...と怒りを露わにしていた。そして実際に、Super Bowlという超高額枠に出稿したにも関わらず、SNSでの会話も株価も売上も低調に推移している。ダンスを求める店員が低賃金で働き、人々の健康を損ねる高カロリーのフードをマーケティングテクニックを駆使して販売し、実際、そこに"Love"が無いことが多くの人の知るところになったことが大きな原因の1つだと伝えるメディアもあった。
生活者のメディアリテラシーをみくびると酷い目に合いますね。