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Campaign, more than anything

超長尺動画広告の裏に仕掛けあり


基本的に動画コンテンツは短い方が良いというのが定跡形なんだけど、この"Have You Been Flying BLAH Airlines?"(BLAHエアラインで空の旅したことある?)は5時間45分と信じがたい長さだ。
ここで言うBLAH Airlinesとは架空の航空会社だけど、5時間45分とはニューアーク空港〜サンフランシスコ空港までの飛行時間であり、大陸横断フライトの退屈で健康に悪い機内の様子が描かれている。リリースしたのは機内体験に絶対の自信を持つVirgin Atlantic。ディスカウントエアラインが参入し、人気になっているこの路線で巻き返しを狙っている。

演じているのはパペット。子供は泣き叫び、鼾は壮絶で、身体のあちらこちらが痛くなる...5時間45分も流石に見ていられないが、スキップしながら観る限り、結構丁寧につくっている。また、わざわざBLAH AirlinesのWebsiteも用意し、チケットを購入できる風を装っている。Virgin Atlanticは"自動操縦でパイロットは悠々自適なのに、客がこの扱いとは酷い旅だ..."と訴えているそうだ。

今週は超長尺広告週とでも言おうか、“The Longest Ad In The World”という挑戦的な広告も公開された。25時間という気の遠くなるような長時間で、薄暗い部屋で男がはぁはぁ言っている退屈極まり無い映像をどの程度我慢して視聴できるかという趣向。

3分でギブアップすると"あなたはたった3分でやめることができたけど、他の人は何ヶ月も何年も生きさせられ続けている"というメッセージと共にDMDなる尊厳死を推進する非営利団体への寄付を薦められる。はぁはぁ言っている男は苦しいにも関わらず死ぬに死ねない状況にある不治の病にかかっている男...という訳だ。
超長尺の裏に仕掛けあり、です。数年前のスーパーボールのティザー広告で本編に登場する女性モデルが5時間に渡ってチェッカーフラッグを振り続けるという無駄に長いだけのセクシー動画広告があったけど、そういうのとは違います。