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アイデアが工場でできる時代。WATSONがデザイナーとコラボして、ファッションイベントでドレスを発表

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4年前にカンヌライオンズで、Astro Teller(Google X)が言っていた「アイデアは工場でできるようになる」って言葉はとても印象的でした。近年のAI界隈の進歩は、そういう時代が確実に近づいていることを実感させてくれるし、このWATSONの取組みもまたそうです。

"Met Gala" なるメトロポリタン美術館のファッションイベントが開催されます。アナ・ウィンターやテイラー・スウィフトが出席するビッグステージです。このMet Galaの今年のテーマが"Manus x Machina"。「テクノロジー時代のファッション」みたいな意味で、IBM"WATSON"がデザインハウスの"Marchesa"とタッグを組んで参加に名乗りを上げました。
手順は、まずWATSONにMarchesaが制作した過去のファッションデザインを学習させ、その上で、デザイナーがイメージする人のキーエモーション(joy, passion, excitement, encouragement and curiosity)をWATSONのコグニティブデザインツールにインプット。すると、WATSONが人が到底思いつかないデザイン・アイデアをアウトプットするという仕組み。これって、かつてWATSONが新フードメニュー開発企画でもやっていた手順と同じです。
そうしてできあがったのが、LEDをちりばめたドレス。Met Galaに関連するTweetに反応して色が変わるそうです。(なんか、微妙な気もします)
 
 
このドレスのように生産工程の上流にAIが食い込んでくると、まさに「アイデアは工場でできる」という感じになります。あの時のカンヌライオンズで、Astro Tellerが同時に言っていた言葉に「10%より10倍」というのがありました。「10%物事を改善するなんてことに大してことではなく、10倍良くすることを目指すべき。それこそがCreativity」みたいな意味なんですけど、「アイデアが工場でできるようになる」とは10倍にあたることなんだと思います。但し、どこかのベンチャーキャピタリストが言っていた「人間を排除するのが一番儲かる」みたいなことに帰結するならば、怖い話だと思った次第です。自分が排除されない側に残る自信はないです。
(via ADWEEK)