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広告業界トレンドを揶揄し続けるJohn St.~今回はReactvertising


広告業界には目まぐるしく変化するトレンドがあり、一般的なトレンド同様にそれを主導する人、大多数の追いかける人、数少ない揶揄する人が存在する。John St.(中堅エージェンシー/カナダ)はその数少ない揶揄する側である。彼等が今回揶揄しているのは"Real-time Advertising"というトレンドだ。これはスーパーボール2013で試合中に予期せぬ停電が起こって試合が38分間中断した時にOreoが素早く繰り出したTweetが発端と言われている。

このTweetは瞬く間に数万RT稼ぎ、以降こういったビッグイベントやニュースにおいて、多くのブランドがデザイナーとコピーライターを機動的に稼働させ、Real-timeでレスポンスするというケースが多発した。
そして、John St.によると、既存の"Real-time Advertising"のスピード感はまだ十分ではなく、その先を行くサービスを提供する"Reactvertising"なるセクションを立ち上げたとのこと。そのセクションは2800人の"スピードライター"を新規雇用し、世の中の出来事に対して素早く対応。権利者へのアプルーバル作業も強引な手法を使いつつも秒速でこなし、従業員の思考・リアクションスピードを鍛える社内トレーニング制度も導入している。24/7稼働のニュースラボを持ち、例えば、香港のデモが"傘革命"と名づけられれば素早く傘を売り込み、iCloudからセレブのセックス写真が流出すれば横漏れしない生理用品を素早く売り込む。トイレでのアクティビティに連動して素早く商品や薬品をレコメンドするシステムや寝ている間もリアクションできるシステムなども開発中とのこと。

更に、R&D,Mobile,TVの3つの分野における"Reactvertising"のビジョンを語るビデオまでリリースされている。
R&Dでは、"死に対して如何にReal-timeでリアクションするかが重要だ"と。その為に、死までのカウントダウン時計を開発しているとのこと...。

Mobileでは、Big Dataを使ってあなたがどう行動すべきか、Real-timeで教えてくれるサービスを提供するが、それに注意を奪われ交通事故に遭うこともある。

伝統的なTVというメディアの中に如何に反射的スピードを取り入れるか? がテーマ。

いつもながらのユーモア。ここまで広告業界のトレンドを揶揄しつつも、Strategy誌の"Digital Agency of the Year"や"Cannes Lions Bronze"とか広告賞はがっちり獲るというのが素敵な会社です。John St.は過去にも業界トレンドを揶揄する数々のビデオをリリースしている。例えば、"罪も無い人々をギョッとさせるドッキリビデオ・トレンド"について。

ヴァイラルビデオ・ブームの中、クリックファーム的サービスの立ち上げを発表。実際、その後、中国やバングラデシュでクリックファームの存在が発覚したのは周知の事実。

動画共有サイトの視聴も簡単に稼ぐ為に、何でもかんでも"猫"をキャスティングする風潮を揶揄し、Catvertisingセクションの立ち上げを発表。

全てにおいて、広告業界人には刺さる内容です。