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カンヌライオンズ2014〜BONOとAppleの関係に本当のソーシャルグッドを見る


カンヌライオンズ2014最終日、Innovation Dayの一環としてBONOがJony Ive(Apple/Designer)と共に登壇した(残念ながら会場には入れず、生中継で見ることになった)。このプログラムはBank of Americaの協力によって実現。今年のスーパーボールで、Bank of AmericaはU2の新曲"Invissible"のフリーDLキャンペーンを実施し、1DL=1ドルを(Red)に寄付している(最終的に3億円寄付)。

まず、BONOが語ったことは...

Appleは(Red)の初期段階からの協力企業であるが、彼らは(Red)への協力の証・ロゴを製品やApple Storeなどでひけらかすことに対して非常に控えめだ。彼らは気でも狂っているのか、全く公表しないんだけど、既にAppleプロダクトの(Red)バージョンから75億円の寄付をしてもらっている。

欧米企業は社会貢献をひけらかすのが主流と思いきや、黙って社会に貢献し、それが思わぬ所から公になった時に、何とも言えない照れを見せる日本的メンタリティを持った企業もあるじゃないか! そして、Jony Iveは、Appleが(Red)の証を表示しないことや、寄付金額を公表しないことに対して、とてもシャイに受け答えしていた。

"慎み深さ"を持ちつつ、"激しく"を前進する...それがAppleのやり方だし、それはある種の宗教になっているんだ。

これは、是非、肝に銘じたい考え方だし、これが大人の企業だと思う。(直前のBONOの問いかけはもっとiPadの(RED)のロゴを大きくしないか?...だったけど、この答えには75億円を語らないという姿勢についても含まれていると思う)
BONOは、もっと多くのHIV研究開発費を、もっと多くの薬を供給して、より早くAIDSから開放される世代を創りたいと考えており、その為にはAppleのようなパートナー企業のより多くの獲得が欠かせない。来年、(Red)がリブランディングするとして、何か良いアイデアは無いか?...と会場を埋めたクリエーターに問いかけた。
すると会場は盛り上がり、何人かがインスタントピッチを始めた。例えばドメイン会社の人が保有している".hiv"のドメインを販売し、登録料を全て(Red)に寄付するというのはどうだ? そして、Red.hivは今後100年間無料...とか、銀行家がRed口座を作る約束したり、(Red)をローカル企業向けに提供しては?...など、アイデアが飛び出した。
このセミナーは、会場から多くの意見が飛び出し、大賑わいで終わったが、個人的なハイライトはAppleとBONOの姿勢だと思う。賞を獲るためのソーシャルグッドじゃ世の中はそれ程良くならない。信念が必要だ...ということをどれだけのオーディエンスが感じただろうか?