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世界で一番美しいData Visualizationはこれだ!


数年前まで「データを読む・見る」ことは極めて退屈で根気が必要な作業であったと思う。所がここ数年、様々なデータを美しいグラフィックで表現する“Data Visualization”が注目され初めて以来、データを見る眼差しは完全に変わった。パワーポイントのスライド1枚から、インタラクティブな仕掛けがあるデータ表現までそのクオリティは急速に高まっている。
そうなると「どれが一番世界で美しい?」という話に帰結するのは世の常。ということで、“The Information is Beautiful Awards”というコンペティションが開催された。1,000以上のエントリーから選ばれた入賞作品はどれも素晴らしく、表現の美しさは勿論のこと、データ分析の視点のユニークさも見所です。
以下、各部門の金賞を紹介します。
Data Journalism部門Casualties(CNN)

アフガニスタンイラクで生命を落とした兵士の名前・年齢・出身地域、イラク/アフガニスタンのどの地域でいつ生命を落としたか?...をまとめたデータ。上記のようなグラフィカルなマップ・インターフェースに加えて顔写真・名前・出身地・死亡シチュエーションなどを表組みで纏めたリスト・インターフェースが用意されている。 勿論、前者が評価されての金賞です。
Interactive Visualisation部門Notabilia

Notabiliaは、Wikipediaの記事が削除に至るまでの審議過程を視覚化したモノ。 Taraborelli & Ciampagliaの研究をもとに、「情報視覚家」の Moritz Stefaner が制作した。
「削除依頼」が出された記事は「特筆性」ガイドラインによって判定される。議論に参加するユーザーは、「存続 (Keep) 」「統合 (Merge) 」「リダイレクト (Redirect) 」「削除 (Delete) 」の立場を表明しながら投票・コメントする。管理者は、審議がまとまったと判断したら、終了を宣言。単純な多数決原則で拙速に結論を出すことを避け、熟議による合意形成を重視している。
ビジュアル化については「存続」「統合」「リダイレクト」が提案される度に緑色の線分が左向きに追加され、「削除」が提案される度に、赤色の線分が右向きに追加される。
※この調査についての詳しい情報については上記説明を引用させて頂いた“Zerobase Journal”が日本語で非常に分かり易いです。
Data Visualisation部門Degree project(Danish Design School)









デンマーク人を対象にした関心調査。「難民・移民」に関する調査では宗教的シンボルをモチーフに、主にインフルエンザをテーマとした「ヘルスケア」についての統計は「微生物」をモチーフにし、「法と秩序(犯罪)」については「バリアテープ」をモチーフとしている。
モチーフとなる写真の選択とデータの組み合わせが素晴らしい。
Infographic/Infodesign部門−Cover-mania: vincono i Beatles

Queen, Bob Dylan, Rolling Stonesなど、著名ミュージシャンの楽曲カバー数を年代別にまとめて表示。美しい。(BeatlesがNo.1に輝いた)
Motion Infographic部門−What Is The True Cost Of War?

英国がアフガニスタン派兵に反対する非営利団体によりリリースされたビデオ。アフガニスタン派兵に費やすコスト及び死傷者数等を表現している。
Tool or Website部門−Anti-Map Log


スノーボード、スキー、マウンテンバイク、ランニングなどの動作データを収集するスマートフォンアプリ。例えば、スノーボードなら回転の角度やジャンプの高さなどの情報を収集してくれる。NokiaがBurton Euro Openで提供した技術に非常に良く似ている。
以下、特別賞です。
Studio Award(ベストプロダクション)−Hyperakt: 代表作“Evolution of the Web



文字通り「Webの進化」を描いたグラフィクス。操作感も素晴らしく感動的作品です。
Student Award−Timeline of the Universe(Omid Kashan)

細かすぎて理解しづらいが、天体物理学者にとって役立つ「宇宙のタイムライン」ということのようです。
Corporate Award−The Interactive UK Energy Consumption Guide(Epiphany Search)



「英国のエネルギー消費」についてのデータをHTML5の縦スクロール展開に美しく纏めている。
Community Award−METALLICA ON STAGE(Deniz Cem Onduygu, Amac Herdagdelen, Eser Aygun)

ハードロックバンド“METALLICA”のLiveに関する記録。いつ、どこで、どのアルバムの曲を何曲演奏したか?...など、かなりマニアックなグラフィクス。
Challenge Winner, infodesign−The Top Most Profitable Movies of 2001 Across 22 Story Types(Cristina Vanko)

2011年に公開された映画をいくつかのタイプに分け、どのタイプの物語が儲かるか? をビジュアル化している。映画産業にとっても有用かも知れません。
Challenge Winner, interactive−Budgets Big and Small(Daniel Leventhal)

ハリウッド映画のデータベースを元に、例えば「過去5年で最も収益力があり、賞賛されたホラー映画は何?」などの質問に回答してくれるツール。MSのPivotを活用。上記同様映画がテーマ。ファンが多い領域には多様な視点が潜んでいそうで、今後もテーマになり続けそうです。
Ultimate Award / Most Beautiful−Casualties(CNN) ※Data Journalism部門と同様
※その他入賞作品は“The Information is Beautiful Awardsのオフィシャルサイトをご覧下さい。