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PR Lions Grand Prixは“Dumb Ways to Die”


PRということで、記事になる為には社会動向との関連性が必要になる為か、社会問題を捉えた作品が多かったように思います。以前良くあった大きさ、速さ勝負などスケール感で圧倒するパターンは少ないように思いました。
そして、グランプリはこれ。
Melbourne Metro"Dumb Ways to Die"

ホームから転落、踏切突入...増え続ける鉄道関連事故死が如何につまらないかを歌にしてアピール。トーストを焼いていて感電死したり、飛行機を操縦して離陸後すぐに落ちて死ぬのと同じで、これほど馬鹿馬鹿しい死に方は無いとメッセージしている。iTunesでもかなりダウンロードされたようです。
これがそんなに話題になっているとは知りませんでした。
その他、会場に展示してあったPR Lionsのノミネート作品で気になった作品を紹介します。
MY MATTRESS“The First Mattress with a Built-In-Safe”

深刻な経済危機の只中にあるスペイン。売上も下降気味の“MY MATTRESS”が資産防衛の為の金庫付きマットを発売。馬鹿馬鹿しいアイデアなんですが、広告代理店がPRを意識しつつ商品提案したことというのが、これからの代理店の役割を示唆しているように思いました。
Tochka G "The Audioguide Project"

Tochka Gとはロシアのエロティックアート専門美術館。閑散とした館内に人を呼ぼうと、「エロ〜い声」で「エロ〜いエピソードを語る」オーディオガイドを導入したという話。カンヌの懐の広さに驚きました。
ICELAND“By Another Name”

経済危機により瀕死状態にあるアイスランドがツーリストを呼び込むべく“xxx Land”なる新ネーミング募集を実施。最近では市町村レベルではネーミングライツの実施事例があるけれど、国とは...。3月で締め切られ"Birdsland""Volcanicland"“Restland”など応募はあったものの、国内からは「何でそのままではダメなんだ」という声があり、結果は実採用されない模様。
Samsung Life Insurance“Bridge of Life”

OECDの中で8年連続で最高自殺率を記録する韓国の自殺防止キャンペーン。自殺のメッカとなっているMappo橋のガードレールに“明日はきっと晴れる”“人生のベストはまだ来ていない”といった自殺を思い留まらせる言葉を記した。そしてガードレールに仕込まれたLEDが人の歩くスピードに合わせて言葉を照らす。その他言葉以外にも家族や子供やカップルの幸せそうな写真を展開した。
Maynland“Dengue Cases Half”

ゴミの山で蠅が絶えず発生し、デング熱など深刻な病が絶えないフィリピン。水ボトルにブラウンシュガーとイースト菌をセットし、蠅を罠にかけて殺してしまうボトルを使った簡単な装置(写真)をウォーターブランドのMaynniladがマニラ市に提供。デング熱での死者が38%減少、病人自体は55%減少という結果になった。Innovation Lionにどうかと思います。
Pepsi“In[messi]onate”


Pepsiが契約タレントであるMessiとの結びつきを強化すべく、In[messi]onateという新たな単語を作り、広め、辞書に掲載するまでになったという話。In[messi]onateの意味は「史上最高のフットボールプレーヤー」「完璧なボール裁きをするプレイヤー」という意味。
これが本当に定着してあらゆる辞書に掲載されて、Pepsi発の言葉として定着すれば良いですが。イメージはIBMの“e-Bussiness”でしょうか。
その他、以前のブログエントリにある作品ですが...

は、いずれも素晴らしい作品です。

Promo & Activation Lions Grand Prixは“IMMORTAL FANS”


Promo & ActivationもPR Lions同様に社会的意義の高い作品がグランプリを受賞した。
SPORT CLUB RECIFE "IMMORTAL FANS"

家族の誰かが死に近づいていたとしても臓器移植登録に頷く家族は少ない。その壁を超えるべく企画されたのがこの "IMMORTAL FANS"。ブラジルのクラブチーム“Recife”の熱狂的ファンに対して、臓器移植の列に並んでいる患者から、「あなたの肺は生涯Recifeのスタジアムの空気を吸い、目は試合を見つめ...」といったメッセージを発信。すると、「死んでも」ファンでありたいと願う熱狂的ファンはドナー登録に賛同し、年間54%増の登録者数を記録。
スポーツのチカラ、恐るべしです。
その他、会場に展示してあったPromo & Activation Lionsのノミネート作品で気になった作品を紹介します。
Jarritos“Double Straw”

2本のストローが絡み合って2つの味をミックスして楽しめる。飲料やお菓子の定番ブランドが新しい食べ方・組み合わの習慣づくりにより陳腐化を防ぐことを狙うケースがありますが、これはその1つの例ではないでしょうか。
LA VOZ“Life Signs”


みんなが標識守らないで事故を起こすから、その事故者で標識を作る。
PRESSBYRAN“The Hot Stamp”

新鮮さを求める顧客の声に呼応して何時にパンを焼いたのか刻印できる型を開発。シンプルだけど食の品質は社会の要請です。
OLFA“Cut to Build”


大阪発のNo.1カッターブランド“OLFA”。カッターを使って作られた美しいオブジェでタイにポップアップストアを展開。芸術ですね。
Huggies“Tweet Pees”

赤ちゃんのおむつのコンディションがスマートフォンでわかるお母さん大助かりのスマートおむつ。
Volkswagen“BEETLING”

自分自身がBeetleの形になりきって投稿。随分馬鹿馬鹿しいけど、形に特徴ある商品だけが可能な企画。
その他、以前のエントリで紹介したPromo & Activation Lionノミネート作品は素晴らしかったです。

Direct Lions Grand Prixはまたもや"Dumb Ways to Die"


Melbourne Metro"Dumb Ways to Die"はPR Lionsと合わせて2冠達成です。素晴らしいアイデアだと思いますがここまでの評価は驚きです。社会問題へのアプローチというのは相対的に評価が高いようです。
その他、会場に展示してあったDirect Lionsのノミネート作品で気になった作品を紹介します。(PRやPromo & Avctionと被る作品は省きます)
Tree Concert

ベルリンのランドマークである樹齢100年のチェスナットツリーを音楽を奏でる木に変えてしまう企画。チェスナットの実が落ち、木の下にセットされた膜に当たることによる振動等を音と光に変換するという試みで、自然の音が楽しめる趣あるイベント。
ここで収集した音をアレンジした音楽作品を販売するなどし、ベルリンの木々を守る資金として役立てた。
Coca-Cola“Reflection of Music Table Mat”


テーブルマット(雑誌広告)のあるポイントにDiet Cokeのメタル缶(雑誌にセットされている)を配置すると、そのメタルにマットの絵柄が写り、それがミュージシャンの顔に見える。更には、缶に仕込まれたサウンドチップが反応し、そのミュージシャンの音楽が聴けるという魔法のようなテーブルマット。(ビデオが見たい)
※イベント版のビデオがありました。

adidas“Highest Goal”

日本代表のW杯出場がかかった試合でこんなプロモーションが行われていたとは知らなかった。スマートフォン端末を使って森タワーのビジョンにスローインすると香川選手がボールをトラップしてシュートしてくれる。シュート数は11,700。同じパターンのシュートにならないようにかなりの数が用意されたようです。
Mercedes Benz“Sprinter Reciept”

沢山買い物するとこんなレシートが。Sprinterには沢山荷物が積めますよ。面白い発想。
その他、以前のエントリで紹介したDirect Lionノミネート作品。

Creative Effectiveness Lions Grand Prixは “Heineken's Legendary Journey”


Creative Effectiveness部門はHeinekenのお馴染みのTVCMシリーズ。以前にもこのシリーズで受賞しており、シリーズ展開としてのブランド価値向上への貢献が評価された。
W+Kから公開されている舞台裏ビデオ

そして、こちらは本編。