Campaign_Otaku

Campaign, more than anything

子供用防弾チョッキが示唆すること


"Bulletproof vests for kids! 149.99$"...子供用防弾チョッキ149.99ドル!...今、アメリカではこんな信じ難い広告が掲出されているが、この広告は実際は"防弾チョッキ"の広告ではなく、逆説的な意味を持たせている。
これは2005年にフロリダ州で制定後、少なくとも全米16州で採用されている"Stand Your Ground laws"に反旗を翻す広告。"Stand Your Ground laws"は銃による正当防衛を許可する法律で、正当防衛か殺傷事件かの立証責任は被害者側にある。つまり、銃で撃たれた時に、「自分は危険な目に遭わせていない」という立証責任は被害者側が行う。既に射殺されているかも知れない被害者が。一方、撃った方は「危険な目に遭った」という証言だけでいいという、日本に暮らす自分にとっては信じ難い考え方だ。
この法律施行後、フロリダでは正当防衛による殺人事件が3倍となった。この法律の可否について論議のきっかけとなったのが、2012年フロリダで起こった"自警ボランティア"のジョージ・ジマーマンによる17才のトレイボン・マーティンの殺害。最終的にジマーマンは無罪判決となったが、これを機に抗議行動は激しくなった。
この流れを受けて"Dream Defender"なる非営利団体がリリースした上のロードサイド広告をリリースした。彼らのURLを辿ると一瞬"子供用防弾チョッキ"のショッピングページが現れる。

その後、画面は切り替わり、以下のビデオへと遷移する。

28時間に1人、アフリカンアメリカンが自警団や警備員に殺されている。どんな親だって子供に防弾チョッキを着せるのは嫌だ。防弾チョッキか、それが嫌なら投票を...これは11月4日の中間選挙での行動を呼びかけており、共和党の支持基盤である南部に暮らし、あまり投票に行かないアフリカンアメリカンに対して民主党に投票するよう呼びかけている(この法律は共和党の発案なので)。
この法はNRA(全米ライフル協会)のロビー活動の成果とも言われている。米国政治は複雑だ。