オシャレな演出だけでない、何度もCMを見てもらえるHeinekenの仕掛け
Heinekenが欧州でオンエアしているTVCM“The Odyssey”のやや自作自演的仕掛けが面白い。物語は運航中の大型豪華客船に海から1人の謎の男がロープを伝って乗り込むシーンから始まる。
船内にうまく潜り込んだ男は、次々に鮮やかな技を披露し、乗船客を虜にしていく。
例えば、鳥を呼んで餌をあげたり...
蟹の手でビールの栓を開けたり...
凄いリンボーダンスを披露したり...
階段の手すりの上を滑って、大きな魚を2人がかりで運ぶウェイターをかわしたり...
カーリングの如く、Heinekenのボトルを床の上を滑らせて、意中の女性の足下にピタリと止めたり...
兎に角、最初のロープ登りを含めて凄い技を20も繰り出している。
一見、これらの技は全て同一人物がやっていると思ってしまうけど、エンディングが意味深。再び海に落ちた男を心配し、みんなが海の方を見ると20人の男が筏の上で整列している。タグラインは“Everyone is legendary at something.”(誰だって伝説になれる)
このTVCMオンエア後、「人は鳥を呼ぶことは出来ない」「髭が少しずつ変わっている」など'フェイク'だと主張するTweetが数多くポストされた。そこでHeinekenのPR担当者が「フェイクなんかじゃない! トリックなど皆無!」とリリースしたビデオがこれ。
20人の男のオーディションシーン。鳥を呼ぶ男も、手摺りスライダー男もいる。20の技を全て別の男が変装して演じているというオチ。「誰にだって伝説になれる」というのは、こういう意味だったんだ。
更には、各技の解説を含めたインタラクティブビデオも公開された。各技のシーンで画面上に現れるリンクをクリックすると解説映像に切り替わる。
フェイクを疑うTweetを織り込みながら、CMを多くの人に何度も見てもらえる仕掛けになっている。手法も面白いげと、演出がオシャレだからこそ、ですね。