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大統領選ディベートでの候補者の間違ったワード使用を指摘して注目を集める辞書ブランド

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1週間前に行われた「大統領選ディベート」。テレビ視聴者数は8,400万人(米国の人口は3億人)。カーターvsレーガンの8,000万人を超えて歴代トップ。2016年では、スーパーボール(1億1,190万人)に若干及ばないが、グラミー賞(2,495万人)、アカデミー賞(3,430万人)を軽く上回り、その注目の大きさが分かる。
今やビッグイベントでは、狡猾なブランドたちがソーシャルメディアでリアルタイム便乗プロモーションを展開するのが常だけど、「大統領選ディベート」でうまくやったなぁと思うのは"Merriam-Webster.com"。1828年に創立した非常に信頼性の高い老舗の「アメリカン英語辞書」です。
ディベート候補者が使用するワードの誤使用を発見・指摘し、正しい使い方を提示したり、ディベート中に使用されたワードで検索回数が多いワードを紹介するというのがその企画で、言葉に注目が集まるディベートならではのアイデア
例えば、トランプが使った"braggadocious"は17世紀初頭~19世紀にかけて使用された古いワードで「ほらふき」という意味だけど、トランプのビジネスや富についての会話の際に使用されており、誤用と判定された。"braggadocio"の検索は15,500%増で、ディベート中、最大の検索ワードとなった。
その他、"big"というワード検索が65,000%上昇。こんなに簡単なワードが検索されるなんて不思議だけど、トランプが発した"Big League"が"bigly"と聞き間違ったために、"big"が検索された。因みに、"Big League"も19世紀のワードでMLBを意味する。
トランプは今はもう使われない古いワードを使う傾向にあるみたい。
また、彼が使った"stop and frisk"は警官が証拠なしに怪しいと思う人を止めることができる、トランプが犯罪抑止ツールとして立法を支持している法律。特に黒人とヒスパニック系を対象としている所が彼のポリシーに一致する。しかし、これは実際には過去にNY州で違憲判決が出ており、Merriam-Webster.comでは、その旨を明示している。
 
脅かしたり、笑わせたりしない知的なアイデア。オーラルコミュニケーション大国ならではです。今回は突飛な発言で有名なトランプだけに、例年以上にツッコミ所満載だったかも知れない。普段は地味目な「辞書」ですが、「らしい」仕掛けです。