デザイナーはもうちょっと厚かましいぐらいでいい
Designers Should Be A Little More Shameless.
デザイナーはもうちょっと厚かましいぐらいでいい。
FAST COMPANYによるランチトークイベントで、WORKING NOT WORKING(クリエーターネットワーク会社)のアーティスト兼共同創業者、Justin Gignacが語ったテーマです。
ぱっと見「Shameless」というのは、オーディエンスの気を引くための大袈裟な表現だと思ったけど、彼が「Shameless」だと主張する幾つかのプロジェクトを見ると、なるほどそうあるべき、と思った次第です。
「欲しいモノ」のイラストを描いて、それを「欲しいモノ」の実際の値段で売るプロジェクト。例えば、ルンバが欲しいとすると、ルンバのイラストを描いて、349.99ドルで売るという具合。「Shameless」すぎます。
「WANTS FOR SALE」の考え方を活かし、ユニセフと組んで、アフリカの角地域(エチオピア界隈)救済キャンペーンを展開。例えば、蚊のイラストが描かれたTシャツは18.57ドルで販売され、売上で「蚊避けネット3セット」が寄贈されます。Tシャツは全12種類あり、最も高価なTシャツは300,000ドルで、カーゴフライト利用料として寄付されます。Tシャツ1枚300,000ドルは笑けてきます。
81人分のワクチン: 24.30ドル(左)1200個の高カロリービスケット: 49.96ドル(右)
10家族分の水キット: 125.55ドル(左)コミュニティ用ウォーターポンプ: 500ドル(右)
プロジェクトを通じて、385,417ドルの寄付を集めることに成功したそうです。WoW!
NYCに落ちているゴミを集め、デザインされたキューブ型パッケージに詰め込み、オンライン販売するShamelessすぎるプロジェクト。50~100ドルで販売されましたが、かなり売れたそうです。日本でも結構話題になりました。
Limited Editionなるゴミもあります。これは「同性結婚合法化」に沸いたNYCで生まれたゴミ。この他にも「ヤンキースの優勝パレード」「オバマ大統領就任演説(DC)」などがあります。価格はなんと100ドル! 狂ってる!
その他にもTV番組のために特大キューブをつくったり、コワーキングスペースのインテリアとしてローテーブル型のNew York Garbageをつくったり、多様に展開。
このNYCのゴミは、世界30ヶ国1,300個以上販売しました。ゴミは人にとって邪魔でしかない存在。それが利益を生むわけですから「ブランド」(=NYC)や「デザイン」の価値をよく表しています。
自分は高校が大阪・新世界の近くで、学校帰りに新世界に行くこともあったんですけど、10円玉を磨いて20円で売ったり、大阪では珍しい雪が降った日に、雪を丸めてボール型にして路上で販売するオッサンがいたことを思い出します。今思うと、やってることはGignacさんに近いです。デザイナーが「Shameless」かどうかは知りませんが、新世界のオッサンが「Shameless」なのは有名な話です。
こうやって見ると、「Shameless」はかなり楽しいです。普段の自分よりも「Shameless」でなければ、単なる良いデザインに慣れた現代では、心を動かすほどの力強さが生まれないということなのかなと思った次第です。