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テクノバンダリズム~Link. NYCハックしたり、Droneで落書きしたり、3Dプリンターでコカインつくったり、糞でザッカーバーグ描いたり

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ストリートアートって、公共物に画を描いたりするわけだから、違法性の高い行為なんだけど、その中でもヴァンダリズム(Vandalism)というのは、その言葉通り、破壊行為なわけで、よりハードコアなストリートアートであり、人々の気分を害する確率も高くなる。例えば、消化器の中味を塗料にして、ドデカい壁にアーティストのタグを描くとかだ。ストリートアートが時代に溶け込みすぎて、そもそものカウンター精神みたいなのが希薄化してきたことに対する「そうじゃないだろ!」的なアクションだったりするのかなと、個人的には思ったり。

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そのヴァンダリズム系で有名なKatsuというアーティストが、今年から立ち上がったLink. NYCを早速ハックしております。因みに、Link. NYCとは旧公衆電話ブースを再利用したWi-Fiターミナル。その他、USBスロットが用意されていて無料でモバイル機器の充電ができるほか、タブレットが埋め込まれていて、無料IP電話をかけることもできる。
Katsuはこのタブレット画面に目をつけ、当然アクセス制限がかけられているであろう、ポルノ画像や兵士の死に顔写真、そして、自身のタグを表示することに成功した。道行く人が、えっ?と、立ち止まって確認し、気分が悪くなるような仕掛けだ。

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Katsuに言わせると、このLink.NYCはテクノロジーで人々の行動をトラッキングし、管理しようとする悪しきシステムであり、この行動は、それに対するアンチの姿勢を表している。
こういうテクノロジーをハックするアンチテクノロジー的バンダリズムを"テクノバンダリズム(Technovandalism)と呼ぶらしい。Katsuはこれまでにも幾つかのテクノバンダリズムを仕掛けていて、1年前には、Droneを使ってマンハッタン最大のビルボードの1つであるカルバンクラインビルボードにスプレーペイントし、ケンダル・ジェンナーのビジュアルを台無しにした。アンチ・コンシューマリズムですね。
 
 
また、サンフランシスコのテンドリオンという治安の悪い地域で250ドル分のクラックを購入し、これを元に3Dプリンタを使ってコカインを再生した(「クラック」とは「破裂する」の意味で「コカイン」の粉末を水に溶かして熱すると白い固形物になり、それを燃やすと破裂することから「クラック」と呼ぶ)。

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これは、Gentrification(劣悪化している区域に中流階級あるいは裕福な階級の人口が流入していくのを伴った区域再開発・再建プロジェクトのことで、通常それまでの貧困層の住民が住む場所を失う)に対するメッセージ。クラックを購入したテンドリオンは、実際、再建対象地域で、その一貫としてツイッター社が本社を移転したりしている。

更には、腹一杯タイフード(何故タイフードかは不明)を食べて、出た糞を注意深く集め、その糞を絵の具にザッカーバーグを描くという、わかりやすいプロジェクトも展開。これ、臭そうだけど最高。

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かなり破壊行為の要素が強いけど、テクノロジーに集中するコンセプトとか、作家性もあって、かなりオモシロいです。違法行為はダメだけど、アイデアの考え方とか、学ぶことも多いかなと思った次第です。

(via The Creators Project, Vice, 3D print.com)