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結果的にMissy SuicideはRichard Princeのアシストをしたことになる気がする

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昨日あたりから、アメリカで1人の現代アーティストが騒動を巻き起こしている。Richard Princeは広告や無名のアーティストの作品を剽窃し、再定義する"Appropriation Art”という手法で、自身のオリジナル作品として発表する著作権侵害ギリギリの物議を醸す作風。これは彼を有名にしたMarlboroの広告写真を使った作品。

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そして今回ターゲットになったのがInstagramInstagramにポストされている大量の写真とそのコメントをチェックし、そこから20枚を選択。そこに自分のアカウント名で、ネットらしい意味不明の言葉やジョークなどコメントを書き込んだ上でスクリーンショットし、プリントして"New Portraits"という名で"Frieze New York"というアートイベントで発表した。

Marcel Duchampは便器にサインしたけど、Richard PrinceはInstagramにコメントをしてオリジナル作品として主張するってことだ。

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展示風景を見ると、Instagramに内包されている投稿側の虚栄心とか見る側の覗き見根性みたいなのが露わになっていて、今のソーシャルメディアの虚構さを浮き彫りにしているようにも見える。

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そのような中、今回5作品をコピーされたのが「パンクやゴシック系スタイルの女性たちを写したヌード写真と、彼女たちの日記を中心としたオンライン・コミュニティ」"Suicide Girls"のInstagramアカウント。そのファウンダーであるMissy SuicideがPrinceへの対抗措置として、Princeが90,000ドルで売っている作品と同じモノを90ドルで販売し、さらに全額をデジタル社会における著作権保護団体"Electronic Frontier"に寄付すると宣言した。以前の裁判でPrinceのフェアユースが認められたことがあり、訴訟は困難と判断したからだろうか、訴訟とは異なる方法を採用した。もし、90ドルで購入したい! という方はこちらでどうぞ。

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現在、双方は話し合いの段階に入っているらしく、経過が気になります。

このMissy Suicideの対抗策によって1,000倍価格の90,000ドルの作品が売れるのか?...というのが1つの焦点ですが、個人的な感想としては、この騒動によりPrinceの作品価値は上がったと思います。現代アートの価値体系において文脈は相当大きな比重を占めていますし、Missy Suicideの対抗策によって、世の中が大騒ぎして、その部分の価値がもう一枚上乗せされたと思います。つまり、残念ながらMissy SuicideはRichard Princeのアシストをしたことになると思います(たぶん)。

最近では他のアーティストの作品が美術館に展示されている場面を写真に撮る作風のLouise Lawlerというアーティストがいるんですが、それは風景写真に作品が移っているだけで完全合法のようです。現代アート、オモシロイです。

(via Creator's Project, artnet news)