SXSW Interactive Innovation Awards (1/3)
デジタルの可能性を拡張し、次のクリエイティブ・トレンドを引き起こすプロジェクト・人物を表彰する"SXSW Interactive Innovation Awards"(PwC提供)が発表された。全16賞と数が多いので3エントリに分けて紹介します。
※スタートアップ企業の登竜門となるコンペティション"SXSW Accelerator"はこちら。
最高賞は世界で初めて3Dプリンターで造られた電気自動車"Strati"。開発はアメリカ・アリゾナ州に拠点を持つLocal Motors。Stratiが公開されたのは昨年9月のIMTS 2014(シカゴ)。会場内で車体を最初から造り始めて6日間にわたる会期中に完成した。現在は1台のStratiを造り上げるのに要する時間は44時間に短縮されており、次は24時間以内に短縮することを目標に掲げている。(現状、公道を走行することはできない)
影響力のある「人物」に対して贈られる賞。米国で最も高い報酬を得ている女性CEOであり、トランスジェンダーの起業家・Martine Rothblatt。彼女の息子が患った不治の病・原発性肺高血圧症(PPH)の治療法を探し、PPHの患者を24時間の点滴静脈注射から解放するために製薬会社United Therapeuticsを設立。彼女はテクノロジーが人間に不死をもたらすと信じており、最新のプロジェクトは、彼女の妻のクローンロボットをつくること。
4人のこどもの父親業をこなした後、1990年台前半から、女性になる準備を始めた彼女は、1995年に書籍「性のアパルトヘイト」を出版し、ジェンダーのカテゴリーは見直されるべきだと主張している。
世界には50億の人間がいて、50億通りのセクシャル・アイデンティティがある。性器は、肌の色と同じくらい、社会的役割とは無関係なはず。法的に男性と女性に分けるのは、黒人と白人を区別するのと同じくらい間違ったことだ。
日本でも大きな話題となったALS Challenge。指名を受けるとバケツに入った氷水を頭からかぶるか、またはアメリカALS協会に寄付をする運動。まさに"ミーム"と言える仕掛けであり、この賞に相応しいです。
健康・医療関係のイノベーションに対して贈られる賞。世界にはスマートデバイスやスクリーンリーダーを使ってテキストからスピーチに変換する、コンピュータ・ボイスに頼って発話している人が数百万人存在するが、その人たちの声の質・トーンはどれも似ている。VocaliDは、そんな人たちに独自の声をつくってあげるプログラム。
このプログラムは2つのプロセスで構成されている。1つ目はスピーチドナーから声を提供(=録音)してもらうこと。次にその声を対象者の声とを特殊技術を使ってブレンドし、オリジナルの声質・トーンをつくる。ビデオを見ると、ドナーから提供されたほんの僅かな声と簡単な手順で独自の声が生成されることがわかる。
コミュニケーション関連のイノベーションに対して贈られる賞。"FireChat"とはネット接続無しでチャットできるApp。メッシュ・ネットワークを利用することでBluetoothだけで現在地から10メートル以内のユーザーとメッセージのやり取りが可能。例え2台のデバイスが10メートル以上離れていても、中間地点にデバイスを1台設置することで、3つのデバイス間でメッセージのやり取りができる。昨年の香港のデモで大活躍したことは大きなニュースになった。