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カンヌライオンズ2014〜電通: THE AUGMENTED HUMAN


電通のセミナーに参加。クリエーティブとテクノロジーで人をエンパワーする、スポーツにイノベーションを起こす...といった2020年を見据えた日本らしい内容で、冒頭から"広告の話じゃありません""今の広告の枠に収まるつもりはありません"って感じで煽りを入れる。
まずは、電通イノベーション実績"NECOMIMI""あそべるTシャツ"などの紹介。"喋る財布"みたいなネタもあって、結構うけてた。

そして本題(実際の内容は非常に濃く幅広いものでしたが、かいつまみます)。
1.New Sports Creation(Jun Rekimoto/東大)
Drone内臓ボールで、自分が蹴ったり投げたりしたボールを自由に操る実験をステージ上で披露。単に喋っているだけでなくて、デモとしてやってみせることで、会場が湧いていた。1つの構想としては、アスリートと一般人の巨大な差をテクノロジーで埋め、アスリートと一般人が戦えないか?...みたいなことを追求しているようです(あるいは、子供がキャッチする瞬間だけスピードが落ちるとか)。Droneボールを操る素人の技術が勝つのか、プロの技はそれを超えるのか?...みたいな。野球観戦でエラーしたプロ選手に"あれぐらい獲れよ!"と文句を言うことぐらいしかできない一般人が、テクノロジーのチカラを借りてプロと勝負するというのが面白い。将棋やチェスなどの頭脳ゲームではAIのチカラを借りて対戦することはありそうでしたが、スポーツで、というのが凄いです。

2.既存スポーツの進化(フェンシングの太田選手)
続いて、スピーカーがフェンシングの太田選手に変ってスポーツの競技をテクノロジーのチカラで進化させるという取組みのプレゼンで、これが特に素晴らしかった。
太田選手は知っていてもフェンシングのルールを知っている人は少ない。理由はスピーディ過ぎてよくわからないという部分が大きい。そこで、フェンシングの剣先の軌道が現実の世界に残像として残るような仕組みを開発し、当たったのか当たっていないのか、衝撃は?...などがわかるシステムを開発した。その他にもシューズに仕掛けがあったり、眼の動きをトラッキングする技術を導入したり、可視化と共に徹底的に動きを分析。


(via bizmakoto.jp)
このプロジェクトをサポートしている真鍋大渡さんによると、

・スポーツとしてのエンタテインメント性を高める。
・取得した各種データを活かして、より効果的なトレーニングや戦略の開発に役立てる。

...という2つの側面から競技を発展させたいとのこと。2020年にはより進化した新しいフェンシングが見られるかもしれない。
最後に、電通はテクノロジーとクリエーティブでエモーションに訴えかけ、人を動かします、と宣言。そのケーススタディとして、先日の"SAYONARA国立競技場"で披露された、国立の名場面を音と光で再現するイベント映像が紹介された。(実際の国立のイベントを見てませんが、結構な脚色感はありました)

(via dentsu-ho.com)
ステージ上でデモが行われながら進行するというのが、他のセミナーにはあまり無い展開で、また、そのデモも面白く、45分が短く感じられたセミナーだった。新しいスポーツを創ることも、既存のスポーツをより魅力的に戦略的にすることも、どちらも素晴らしかった。