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今まだ続く9.11の物語を多様な角度から語り続けるアルゴリズム


9.11から13年。5月21日、グランドゼロの地下に"The National September 11 Memorial Museum"がオープンする。この施設はテロを生き残った人々を讃え、犠牲者を追悼し、テロリストを非難する...そんな目的で造られた施設ではあるが、一部では24ドルという高額な入場料、Tシャツ販売...などが非難の的になっている。
そんなミュージアムで話題になっている展示が"Timescapes"。幅10.3mの大きな壁にプロジェクションされるこの展示は、見る度に展示内容が異なり、多様な角度から今なお続く9.11の物語を来場者に語りかける。
まず最初に表示されるスターバーストのようなこのグラフは9.11以降、取り上げられたキーワードを200万を超えるアーティクル(Associated Press, Google News, LexisNexisなど広範なアーカイブを利用)から選択し、その露出ボリュームを図示している。

そして、そのスターバーストの中で関連する3つのキーワードを選択し、その3つのキーワードに纏わるアーティクルのヘッドラインや写真が選択され、時系列で表示される。

これらの動きは、"Local Projects"なるプロダクションにより設計されたアルゴリズムが働いている。例えば"Osama Bin Laden"と"Saudi Arabia"が関連するキーワードとして抽出されるのは分かり易い話だけど、株価の動きや航空産業の決算、あるいは倒産...など、予期せぬ広範な領域までカバーしているのが素晴らしい。

こちらを見れば、展示面積の大きさがよくわかる。

"Local Projects"曰く、このプロジェクトは8年前からスタートし、当時、9.11は歴史では無く、現在起こっていることだった。そして、今もまだ歴史にはなっておらず、その物語は続いている。その「まだ続いている」イメージを表現したかったそうだ。
ついついアルゴリズムに目が行くけど、良い企画は良い技術ではなく、良いコンセプトから生まれるというのが良く分かります。