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スーパーボールマーケティングを変えた12の広告


日本では「家政婦のミタ」の視聴率が40%超えで話題なってるけどNFLの頂上決戦「スーパーボール」は1991年以来21年連続で視聴率40%を超えるオバケイベントだ。「スーパーボール」が凄いのはゲームだけではなく広告にもかなりの注目が集まり、翌日は様々なメディアでCMランキングが展開されるほど。勿論、30秒CMの料金も世界最高で今年の価格は約3億円。そんな高額料金で注目が集まる機会だからこそ企業は趣向を凝らしてくる訳だけど、これまでに「スーパーボールマーケティングを変えた」と言われる12のCM・企画が存在するので紹介したい。
Apple“1984”(1984)

コンピュータの世界を支配していたIBMに対する挑戦状としての意味を持つCM。ジョージ・オーウェルの名著「1984」がモチーフとなっており、共産主義の支配者ビッグブラザーIBMに見立てている。それまでスーポーボールのCMはお茶の間を「笑わせる」ことに終始していたが、この作品が「考えさせる」始めてのCMになった。
Xerox“Monks”(1977)

Brother Dominicが依頼された教典の書き写しを終えて宗教指導者に手渡すと更に500部の書き写しを依頼された。彼は一瞬困ったがXerox Shopを発見し、簡単にやってのけると指導者は大いに驚く。当時、「宗教」をモチーフにすることはタブーであったが、そのタブーを打ち破り、際限の無いユーモアの世界の扉を開いた。
Anheuser-Busch, "Bud Bowl"(1989-1997)


“Budweiser vs Bud Light”など、バドファミリーのボトルがフットボール対決するCM企画。スーパーボールの試合中に何本かオンエアされるCMをチェックし、得点経過を専用用紙に記入し、応募すると抽選で賞金が当たるキャンペーンになっている。スーパーボール内でオンエアされるBudweiserの全てのCMに注目を集める仕組みが新しかった。
Cash4Gold(2009)

MC HammerとTVパーソナリティのEd McMahonが出演するこのCMは「手持ちの貴金属を買い取りますよ!」という日本でも深夜且つローカルでオンエアされる類のモノ。スーパーボールは長らく一流企業のCMだけがオンエアされる場だったが、「サブプライム問題」による不況からこのようなCMが流れる事態となった。
Monster.com "When I Grow Up..."(1999)

Monster.comとはキャリア形成支援会社。子供たちがカメラを見つめ、将来の夢を語るという趣向なんだけど、「おべっか使いになる」「中間管理職にしがみつく」「早期退職される」「イエスマンになる」など、かなりシニカルな内容。娯楽の粋である「スーパーボール」に現実を突きつけるというのが、それまでに無いパターンだった。
Chrysler"Imported From Detroit"(2011)

クライスラーの根拠地・デトロイト出身のEminemを起用し、「不況からのデトロイトの復活」をテーマとすることでアメリカ人のナショナリズムに訴えかける内容。表現の格好良さと共に120秒というかつて無い尺が話題になった。
Budweiser Clydesdales' 9/11 Tribute(2002)

911直後のスーパーボールでオンエアされたCM。「荷馬車」をモチーフとするのはBudweiser恒例のパターンなんだけど、ワールドトレードセンターの方向に向かって馬が哀悼の意を表し、最後に“We'll never forget.”(私たちは決して忘れない)で締めくくり。スーパーボールCMが何かを売ったり楽しませたりする以上の可能性を秘めていることを証明した。
Nike"Just For Feet"(1999)

ケニア人ランナーが素足でどれだけ走れるか実験し、ランナーが限界に達し、倒れ込んだ後にNikeのシューズを履くと、再び走り続けられるという内容。「人種差別主義」的内容とのことで非難を浴びたが、他のCMを凌駕する強烈なインパクトがあった。
Master Lock(1974-1983)

ライフルで撃たれてもロックがはずれない南京錠のCM。他社がスーパーボールの為に毎年趣向を凝らす中、このシンプルで力強い表現のCMを「9年間」オンエアし続けた。
EDS"Herding Cats"(2000)

カウボーイたちが数百匹の猫を連れて草原を駆け抜けるEDS(システムコンサルティング会社)のCM。現在では当たり前になっている高度なデジタルエフェクトが使われ始めるきっかけになった。
Doritos“Crash the Super Bowl”(2007-)

Doritosは2007年以来、世界で最も高価なCM枠にユーザージェネレーテッドCMをオンエアし続けている。“Crash the Super Bowl”なるCMコンテストを開催し、一般投票で選ばれた上位3作品がオンエアされ、Ad Meter(USA Todayが掲載するスーパーボールCMランキング)で1位ならば100万ドル、2位ならば60万ドルも3位ならば40万ドルがボーナスとして贈られ、更に1-3位独占の場合は、各々に100万ドルずつボーナスが支給される驚愕の企画。3年前には無職の兄弟がつくったCMが1位を獲得し(上)、アメリカンドリームを実現した。
CBS"David Letterman and Surprise Guests"(2007,2010)

放送局のCMはオンエアスケジュールを流す程度が定跡形だけど、CBSがユーモア溢れるCMをオンエアした。同局の看板テレビショーのパーソナリティ“David Letterman”を起用し、ゲストに他局の看板テレビショーのパーソナリティである“Oprah Winfrey”を招いたのが2007年。2010年は更に“Jay Leno”までキャスティング。「最悪のスーパーボールパーティだぜ」という“David Letterman”の言葉が印象的だ。
(via Advertising Age)