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禁欲的な芸術家と拝金主義的なアートビジネスマン



4月にBanksyの初監督作品“Exit Through The Gift Shop”の日本公開が決まった矢先に、Banksyをテーマとしたドキュメンタリーフィルム“How To Sell A Banksy”のトレーラーが公開された。
これはアート業界の暗黒面がフューチャーされた作品であり、超高額の値が付くBanksyの作品がオークションに出品されるまでのバックストーリーを取材している。そこには、一攫千金を夢見てBanksyが非合法的にストリートに描いた作品を手に入れようとする人々の狂気に満ちた世界が登場するという。オークション運営者やギャラリーオーナーといったビジネスとしてアートに携わる人々にとってのアートの真の価値とは何か?無償で創られたストリートアートの所有権は誰にあるのか?といった問題を提起している。
禁欲的な芸術家と拝金主義的なアートビジネスマンという全く正反対のメンタリティを持った人たちが形成する1つの世界の真の姿を描くというコンセプトが興味深いです。そもそも、ストリートアートってここ最近急速に評価が高まったわけで、それらの扱いについての業界のコンセンサスというものはまだ確立されておらず、この作品をきっかけに何らかの動きがあるかもしれません。
※Banksy初監督作品“Exit Through The Gift Shop”について
LA在住のフランス人映像作家ティエリー・グエッタが、ストリートアートのドキュメンタリーを制作するために、バンクシーを取材したことをきっかけに生まれたもの。取材を受けるうちに、バンクシーはティエリーに映像の才能がないことに気付き、逆にティエリーのドキュメンタリーを自分が監督すると申し出、アートの知識も技術もないティエリーを、「MR.BRAINWASH」というストリートアーティストとしてバンクシーが仕立て上げる様子が映し出されている。また、多数のストリートアーティストも登場しているようで、バンクシーがアート界の裏側を映し出した、皮肉とユーモアに満ち溢れたドキュメンタリーに仕上がっているようだ。

※冒頭の配給会社のロゴが“Paranoid Pictures”になってる。らしいジョークですね。

Banksy
イギリスを拠点とする謎のストリート・アーティスト。主にステンシルを使った作品をゲリラ的に描くことで知られている。過去には、「狩りに行く古代人」と題してショッピングカートを押す古代人が描かれた石をこっそりと大英博物館に展示したり、パリス・ヒルトンのデビューアルバムの偽物を勝手に店頭に陳列するなどして、メディアを騒がせた。しかし、イスラエルパレスチナを分離する壁に平和の願いを込めた作品を残すなどの活動も行っており、ストリートアート・ファンだけでなく、多くの人から絶大な支持を得ている。2009年夏にイギリスのブリストルで開催された大規模な個展「Banksy versus Bristol Museum」には、のべ30万人もの人が来場した。