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嫌らしくないルイヴィトンの高級感




高級ブランドの中には、「高級」であることを強調することによって高級ブランドのポジションを維持するブランドもあれば、そうでないブランドもある。
手書き文字や古いタイプライター文字、牧歌的な音楽にそれ程大きくない街の喧噪を表すような効果音の活用。小さな文字の説明文からスクロールボタンまでもが全て手書きという徹底ぶり。ルイヴィトンは、自他共に認める高級ブランドにもかかわらず「高級なふりをせず」、素朴さ満載の表現で歴代フランス職人が中世から受け継ぎ、支えてきたであろう芳醇な文化をイメージさせることによって高級感を担保するという技をお使いになっている。
この徹底したローテク表現がなされているのは、秋冬物紳士服をアピールする為に立ち上げられた“The Journey of a man's wardrope”。フォトグラファーのSelbyがパリ、シンガポール、ロンドン、ニューヨーク、東京のルイヴィトンゆかりの場所やショー会場、スタジオを巡ってせっせと撮影した写真がアップされている(現在はパリのみアップされており、順次各都市の写真が公開される)。このSelbyによる写真も個々のコレクションを紹介するというよりは、むしろ世界観を意識したものになっている。
今、高級ブランドはどこもかしこも打撃を受けているが、「高級然」としていないルイヴィトンの態度は不況時に起こる高級なものへの嫌悪感を軽減する効果があるのではないかと思う。