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ペプシは“良い人”になれるのか?



スーパーボール(2月第1日曜日)当日、午前中から大画面テレビのあるお宅やレストランにお邪魔し、「スーパーボール・パーティ」なるものが開始され、朝から全米中でちょっとした大騒ぎが始まる。スーパーボールは米国最大の娯楽であり、その30秒スポット料金は300万ドル以上と非常にお高い。そして、次の日には各メディアでスーパーボールCMランキングなるものが発表される。ゲームやハーフタイムショーだけでなく、TVCMも充分なお楽しみコンテンツになっているのだ。
ペプシはそんなお高いスーパーボールCMの常連であり、23年間に渡って出稿し続け、過去12年間で1億4200万ドルをスーパーボール関連に投資し、常にランキング上位のCMを供給してきた。
しかし、である。2010年、ペプシはその歴史に終止符を打ち、2000万ドルをソーシャルメディア投資に振り向ける。そしてその中核となるが“The Pepsi Refresh Project”だ。これはHealth,Art & Culture,Food & Shelter,The Planet,Neighborhood,Educationの6つの分野における社会貢献アイデアを募集。一般投票を経て、票の多いプログラムに寄付を行うというもので、第一回のアイデア締切が1/24,投票が2/1〜28となっており、250,000ドル×2本、50,000ドル×10本、25,000ドル×10本、5,000ドル×10本のアイデアが選ばれる予定。最終的に支援プロジェクト数が1000!に到達するまで継続するようだ。
この企画、どちらかというと“Open Hapiness”を掲げるコカコーラっぽい。ペプシはこれまで巨人・コカコーラに対抗すべく、“Fun”を追求してきた“やんちゃな方のコーラ”ブランドである(と察する)。そんなブランドがこの“優等生的企画”である。“The Pepsi Refresh Project”は“みんなで社会をより良くすることを考えよう”と呼びかけつつ、“ペプシ=良い人”を偽善者イメージ抜きで頭に残そうとする巧妙な狙いがあるわけだが、“やんちゃな奴”がいきなり優等生的行動をとることが少々嘘くさい気がする。昔からそうだが、“やんちゃな奴”ほど、さりげなく良いことをするものだし、それが“やんちゃな奴=格好イイ”と記憶される所以。確かに時代は深刻な問題を抱えており、真面目な気分が蔓延している。だからこそ、ペプシは、そんな気分の人に“俺、こんな良いことやってるぜ!”ではなく、こっそりと良いことをしている事実を発見させるような“ペプシってそんな一面もあるんだ”アプローチはとれなかったか...とも思う。