Campaign_Otaku

Campaign, more than anything

VRジャーナリズムでオーディエンスを世界へ連れて行く

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New York TimesがVRジャーナリズム"NYT VR"を本格稼働する。春頃にNew York Times Magazineで実験(Walking NY)していたで当然の流れといえばそうだけど、かなりチャレンジングだなと思うし、そこに「新聞」などという面影も、紙とか映像とかネットとかいう前時代的な境界の意識もなく、ただひたすらジャーナリズムの可能性を追求する姿勢を感じる。

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NYT VRのコンテンツを視聴するためには、AppとGoogle Cardboardが必要で、11月5日にApp Store(iOS, Android)でIM360と共同開発した専用Appを配布する。また、紙版購読者には11月7,8日に、Times Insiderなど、その他の登録者にはemailキャンペーンを通じて無料でGoogle Cardboardを配布。合計100万個配布予定とのこと。かなり本気だ。

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コンテンツの第一弾は、VRコンテンツプロバイダー"VRSE"が制作する国際的な難民問題を描いた"The Displaced"。"VRSE"はダボス会議で各国のお偉いさん相手に、難民キャンプを疑似体験できるVRフィルムを公開していたプロダクション。エンタテインメントではないVRの使い方ってあるんだと、当時感嘆した記憶がありますが、これがVRジャーナリズムへ繋がる道だったとは。

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"NYT VR"には広告セクションもあって、第一弾はGEとMINIが出稿。New York Timesのハウスエージェンシー"T Brand Studio"が制作を担当する。「自然に学ぶ、産業やテクノロジーにおけるデザイン」とあるので、バイオミミクリー的なことなのかな。

Andy Wright(VP)が"We're bringing our audience to the world."って語ってるんだけど、「なるほど」というコンセプト。今までは世界で起こっていることを伝えるだけだったんだけど、NYT VRを通じてオーディエンスを世界に連れて行く所までやるんだ、と。

日本の新聞社と比べると随分差があるように感じる。時代の要請に合わせてドメインを再設定することは、どんな企業でもやり続けなければならないということだと理解しました。

(via Adage)