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良いストーリーがプロダクトを輝かせる

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NIKEの新型シューズ"FLYEASE"のバックストーリーを語るビデオ。ちょっとジーンと来た。プロダクトの魅力をより大きく引き出すのは良いストーリーテリングだなぁと改めて思った次第です。

ことの始まりは2012年。NIKEの共同創業者であるMark Parkerが16才の高校生"Matt Walzer"からソーシャルメディアを通じてメッセージを受け取った。そのメッセージには、Mattが人生を通じてNIKEのバスケットボールシューズを愛用していて、それはNIKEが好きだからというだけではなく、脳性麻痺患者であるMattの足首を守る効果があるからだ、と、NIKEに対する感謝が綴られていた。その後、Mattは大学進学時にNIKEにサポートを依頼する。病と戦いつつ、勉強に励み、優秀な成績を収め、大学に進学する彼に残された大きなチャレンジに協力して欲しい、と。

私は自分自身で服を着ることができるけど、シューズだけは親に履かせてもらわなければならない。自分はもう大人になるし、自分のことは自分でできるようになりたいけど、靴を履くことだけにはイライラさせられるし、時にそれができないことを情けなく感じる。NIKEの共同創業者の1人であるBill Bowermanは「あなたに身体があるなら、あなたはアスリートだ」と言った。フィジカルや経済状況、社会的ポジションに関わらず誰もがアスリートと呼ばれ、自由な1人の人間としての実感を持つべきだと僕は信じている。もし、NIKEが全ての人にとって履きやすい仕組みを持ったシューズをつくったなら、それは私のような肉体的な障害を持った人を引き付けるだろうし、その上、誰もが履きたいシューズになるだろう。

このMattからのメッセージにインスパイアされてNIKEのデザイナー Tobie Hatfieldが全ての"アスリート"に向けて開発したシューズが"FLYEASE"。それは、NIKEの最初の社員であり、右半身の動きに問題があるJeff Johnsonにとっても素晴らしく、踵部分が特徴的な誰にとっても履きやすくクールなシューズだ。

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身体に障害を持つ1人の青年の要望を取り入れた彼だけのためのシューズをつくるのではなく、誰にとっても魅力的なシューズをつくる...とても素敵なコラボレーションだし、そのプロセスのストーリーがプロダクトをより魅力的にしているのが良いです。