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カンヌライオンズ2014〜グランプリ以外の気になる作品


カンヌライオンズ各部門のグランプリ作品やグランプリを争った作品を中心に紹介してきましたが、その他にも気になる作品がいくつかありました。
Reunion(Google Search)
1947年、パキスタンがインドから独立し、両国の間では戦争を繰り返してきましたが、独立の際に引き裂かれた家族・友情が多くありました。このフィルムではインドのある男の娘が父の誕生日プレゼントとして、少年時代の親友をGoogle Searchを駆使してパキスタンから探し出し、面会させるサプライズを実施しました。この映像の反響は大きく、両国でビザ手続きの緩和措置へと進展したようです。
これで思い出したのが、昨年Coca-Colaが実施した、インド・パキスタン両国に通信可能なベンダーを設置し、両国の人が協働でミッションをクリアするとCoca-Colaがもらえるという企画。賞狙いの為に両国を利用したと一部で非難されましたが、"Reunion"は実際に両国の間にある問題を捉えており、リアリティがあり、且つ美しいストーリーだと感じました。Ogilvy & Matherのセミナーで紹介されていたのですが、一際拍手が大きかったです。

Simon the Ogre(Thomson)
人食い鬼のような風貌のSimon。Simonは優しい男だけど会社では冴えない感じでミスも多い。そんなSimonがThomson(旅行代理店)の旅に出て、家族と目一杯楽しむと、角はとれ、風貌がハンサムな男に...。シンプルで力強いストーリーだと思う。

#SochiProblems(Airbnb)
ソチ五輪の際、ホテルが酷いことになっていると話題になった。部屋が未完成、蛇口から茶色い水が出た...など、ジャーナリストがその現状を告発Tweetする中、空き部屋シェアサイト"Airbnb"がジャーナリストに"Airbnbだったら、もっとまともな宿泊を用意できるよ"といったリプライを展開した。どんなビジネスチャンスを逃さない視点が素晴らしい。

Banana Republic(Airbnb)
ジャカルタのスラムの劣悪な現状と改善寄付を募るために、空き部屋シェアサイト"Airbnb"で1泊10ドルで宿泊者を募集し、収益金をスラムの改善に役立てた。ずっと住むのは嫌だけど、数泊なら話のネタにOKという人も多い...というインサイトが素晴らしい。

Pass the Ball(Vodafone)
モバイルApp"Pass the Ball"を使った赤十字のドネーション企画。赤いボールが人から人へ飛んでいく。ボールを早く手放せば手放すほど寄付金は大きくなる。2週間で37万DLを記録し、20万ユーロが寄付された。何か"ハンカチ落とし"のような感じ。

Removal Happens(Esteban Gergely)
弁護士事務所の離婚相談広告。一見、熱々カップルの結婚ビデオを制作し、そのYouTubeリンクを700名の見込み客に送信。再生すると"実はこの2人離婚しました"的メッセージが流れる。何と狡猾な手口!!

The Social Swipe(Misereor)
手持ちのクレジットカードをビルボードにSWIPEして寄付するという面白い仕掛け。SWIPEがパンのカットになり、手首に締められたロープを切り落とす役割だったり...クレジットカードの動きと広範な社会問題がリンクし、ダイレクトに寄付できるのが素晴らしい。

Phubbing(Macquarie Dictionary)
スマートフォンに取り憑かれ、人の話を聴かない」を意味する新ワード"Phubbing"を開発。社会問題文脈で世の中の話題にし、自社の辞書に掲載。昨年も「史上最高のフットボールプレーヤー」「完璧なボール裁きをするプレイヤー」の意味として、Messiの文字を含む"In[messi]onate"という新語を開発するPepsiのキャンペーンがあったけど、社会問題文脈にのっている今年の方が良いです。

Climate Name Change
1954年以来、米国では'World Meteorological Organization'がハリケーン・サンディやハリケーン・カトリーナのように人名をハリケーンにつけてきたけど、James InhofeやPaul Ryanなど、ブッシュ政権時代に気候変動を否定した共和党議員の名前をつけるべきだと提案。いや、そうすべきだ!!

Incomplete Bios
上の"Climate Name Change"と同様の展開で、マニュフェストが気に入らない政治家のWikipediaを勝手に編集する企画。例えば、"子供の教育に関連する施策"がマニュフェストに記載されていない政治家がいるとすると、Wikipediaのプロフィールに「教育政策」という項目だけ作り、内容を白紙にすることで、政治家に考えの変化を促す。制作費ゼロ!

Suntory HIBIKI Harmony Bar with HIBIKI Glass
こういう場所があれば素敵だな。