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D&AD AWARD 2014 「Sound of Honda」がBlack Pencil受賞


"D&AD AWARD 2014"が発表された。"D&DA AWARD"は英国に本部を置く非営利団体「D&AD」が主催するAWARDで、その審査の厳しさから、世界で最も受賞が困難なデザイン・広告賞と言われている。私見だけど、業界団体が運営する"Cannes Lions"以上に価値があるのでは無いかと思う。
"D&DA AWARD"は全24部門で構成されているんだけど、各部門を超越した最高賞である"Black Pencil"は該当者無しという年もある程、価値ある賞だ。
今年はその"Black Pencil"が7作品選ばれ、嬉しいことに日本から1作品選ばれている。これは、UNICLOCK以来、2回目の快挙だ。
#1:Sound of Honda / Ayrton Senna 1989

アイルトン・セナが1989年に記録した最速ラップを音と光の演出で再現するこの試みのビデオを初めて観た時、身震いしたことを覚えている。こんなことをするホンダって本当に素晴らしい会社だと思った。日本だからというのではなく、この企画が受賞して素直に嬉しいです。


#2:The Most Powerful Arm

人は3500人分の1人の確率でDMD(デュシェンヌ筋ジストロフィー/筋肉が思ったように働かない)という病に犯される。この事実の周知を図り、治療の為の研究開発費の寄付を募るキャンペーンが“The Most Powerful Arm”。
文字が書けないDMD患者の為に開発された文字書きロボットがあなたの代わりにネット越しで署名してくれるという仕掛けで、署名はFacebookに自動ポストされる。


#3:NS/ProRail – Improving Safety and Comfort on Train Platforms

オランダの鉄道の駅のプラットホーム上部に取り付けられたリボン型LEDが、列車の効率的利用を促進。赤・黄・緑で色分けすることによって、空席状況を教えてくれたり、自転車の置き場所を表示する。

#4:The Epic Split

超大ヒットしたVolvo Truckの"Volvo Dynamic Steering"(正確で安定感のあるステアリング機能)を強調するビデオ。バンダムばかりが印象に残ったような気がしましたが、これがBlack Pencilですか...。

#5:CSPD 2012 Annual Report



CSPDは身体の不自由な人々を支援する非営利団体。そして、彼らが作ったアニュアルレポートは身体の不自由な人々が感じる生きづらさを感じてもらう為の"読みづらいレポート"。故に、ホッチキスが中央に止められている。これにより、寄付金を集めるという狙いもあるようだ。
#6:Sweetie

"Webcam Child Sex Tourism"が急速に拡大している。リッチな国の男がフィリピンのような貧困国の少女とWebcam越しに繋がり、セクシャルなポーズを要求する。そして、男はマスターベーションする。そんな男はオンライン上に常時750,000人存在する。そして、その相手をする少女(6才〜)がフィリピンだけでも数千人居る。捕まった男はたったの6人だ。
そこで、CGでSweetieなるフィリピン人少女を制作し、囮捜査を実施。1000人の容疑者の特定に成功した。これは素晴らしい!

#7:GravityLight

"GravityLight"は砂などを入れた袋をぶら下げて、その重力で発光するランプ。天気や時間帯に関係なく使うことができ、機器の充電にも利用できる。電気のない発展途上地域での灯油への依存を減らすことを目的としている。
9kgほどの材料(砂や土、石など)を詰めた袋を装置に取り付け、この袋が徐々に下がることによって、約30分間の光が得られる。電気無しでライトが使えるとは画期的だ。

7作品中6つがソーシャルグッド。但し、企業の売りたい気持ちを内に秘めた偽善的ソーシャルグッドとは違うので気持ち良い。そのソーシャルグッド全盛の中、ホンダが受賞したことは本当に素晴らしい。また、このホンダの受賞の影響か、Digital Agency of the Yearに電通が選ばれた。おめでとうございます!
※追記1: Black Pencilの審査ビデオがリリースされた。

※追記2: 今年も素敵なタイトルシーケンス