世界で最も美しいデータ表現

David McCandless(Data Journalist / Information Designer)とKantar(Data / Research Agency)が昨年立ち上げたデータ表現の国際賞“The Information is Beautiful Awards”の受賞者がロンドンで発表された。データ表現というとデザイン的な面に注目が集まりがちだけど、リサーチテーマもユニークなモノが多く、とても興味深い。
カテゴリーはData Visualisation, Infographic, Interactive Visualisation, Motion Infographic, Tool or Websiteの5部門で、各々に金・銀・銅賞が設けられている。更に、6つの特別賞(Best Studio, Individual Contribution, Student Work, Community Project, Corporate Work, Most Beautiful)が用意されている。
1.Data Visualization
金賞:Nobels, No Degrees by Accurat
1912年〜2012年のノーベル賞各部門・受賞者の年齢・出身大学・学派などの関係を表したイメージ。やはり、Harvard, MIT, Stanford, Caltech(カリフォルニア工科大), Columbia, Cambridge, Berkeleyが大勢を占めているんですね。

銀賞: How to win an Oscar by Christian Tate for Delayed Gratification
過去のオスカー受賞者の役回り、出身国などを分析し、オスカー受賞の秘訣を探るグラフィック。

銅賞: Emoto Installation by Studio NAND
ロンドン五輪におけるTwitterのレスポンスを分析。データが彫刻的に表現されているのが美しい。


2.Infographic
金賞: Global Warning by Derek Kim
2007-2008の経済危機の間に起こった出来事やその残骸についてのデータをまとめたグラフィック。

銀賞: The 39 Stats Charting Hitchcock’s Obsessions by Adam Frost, Zhenia Vasiliev
ヒッチコックの初期作品から共通する「妄想」についてのまとめ(長い!)。

銅賞: Why Health Care is so expensive by Heather Jones
何故、ヘルスケアはこんなに金を食うのか?

3.Interactive Visualisation
金賞: Bloomberg Billionaires Index
世界の大金持ちに関するデータを整備したWebsite。似顔絵イラストが素晴らしい!





銀賞: Listen to Wikipedia by Stephen LaPorte, Mahmoud Hashem
Wikipediaからデータが削除される様子をベル音で、情報が追加される様子をストリングスで表現したWebsite。

銅賞: U.S. Gun Deaths by Periscopic
米国における銃による死者に関するデータを纏めたWebsite。美しいデザインにコントラバーシャルなテーマというギャップがいい。



4.Motion Infographic
金賞: The Solar System – our home in space by Philipp Dettmer
太陽系に関するデータを纏めた映像。ミニマリスティックなデザインが美しすぎる。

銀賞: New York City Carbon Emissions by Adam Nieman, Chris Rabet
NYCで発生した温室効果ガスが1時間後、1年後どのような量になっているのかを纏めた映像。恐怖感あります。

銅賞: BBC Knowledge DNA Explainer by Territory
仕組みや働きなどDNAに関する情報を纏めた映像。

5.Tool or Website
金賞: Infogram by Uldis Leiterts, Raimonds Kaze, Alise Semjonova
インフォグラフィクス簡単制作ツール。使えるかも知れません。

銀賞: GED Viz - Visualizing Global Economic Relations by Jan Arpe
米国・中国・カナダなど、主要16カ国間の人・モノ・金の移動をグラフィカルに表現されているツール。

銅賞: Dataseed
インタラクティブビジュアル生成装置。スプレッドシートをアップロードして2,3分で完成するとのこと。この世界も自動販売機的だな。

特別賞(Special Award)
Best Individual Contributions: Character Kingdom by Tim Leong
コミックキャラクターと動物の関係を美しく分類。

The Atlas Of Kant’s Legacy by Valerio Pellegrini
哲学者・カントの語彙の進化(1747-1803)。テーマもデザインも美しい。'哲学の義務は、誤解によって生じた幻想を除去することである'とか好き。

Student Awards:Here I Go Again by Jacob Hagen
Jacob Hagen本人の1週間の全ての行動をデータ化。学生らしい発想だ。




Meteorites 1900-2000 by Kim Albrecht
1900-2000年の間に落下した隕石に関するデータ化。


Community Award:Politicians’ Salaries & Income Inequality by Ahmad Barclay
政治家の収入の不平等性について。

Corporate Award: McKinsey Global Institute for Urban World
世界260都市のGDP,人口,世帯収入の2010年時点のデータと2025年までのシナリオを提示したAppの開発。

Studio Award: Accurat Studio(Data Visualisation: 金賞)
Most Beautiful Award:Bloomberg Billionaires Index(Interactive Visualisation: 金賞)
この分野、益々進化しそうです。この1年がまた楽しみです。(昨年のThe Information is Beautiful Awardsはこちら)