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Campaign, more than anything

スーパーボールはソーシャルボールへ


Ravensの劇的勝利に終わり、試合内容も良く、ハーフタイムショーもBeyonceということで女性視聴者が増えて今年のスーパーボールの視聴率はかなり良いのでは無いかと想像していたけど、意外にも昨年の1.1億人から1.08億人へと視聴者数は300万人ダウンした。一方でソーシャルメディアは絶好調で、米国での「ソーシャルテレビ」の潮流が鮮明化する結果となった。

Trendrr TVなる調査会社が発表したソーシャルテレビのデータによると、ソーシャルメディアの投稿数は前年比3倍増の5,500万となった。最も投稿数を稼いだのはBeyonceのハーフタイムショー。Ravens勝利の瞬間を100,000投稿程度上回っている。
また、全52本オンエアされたTVCMの内32本がソーシャルテレビの盛り上がりに一役買っている。

断然トップはTwitter。26本のTVCMがTwitterへと誘導しているのに対してFacebookは4本とかなり少ない。
更に企業のソーシャルメディアチームはゲームの流れに応じて気の利いたTweetでバズを起こそうと躍起になっていたようだ。その中で最も目立ったのはOreo。34分間の歴史的停電騒ぎの際に投稿したTweetがこれ。

“Power Out? No Problem”(停電? 大丈夫さ)とつぶやき、ビジュアルでは“You Can Still Dunk in the Dark”(暗闇だってOreoを牛乳に浸けられるよ)。“Dunk in the Dark”の韻の踏み方も気持ちいい。反響は大きく15,000RT+20,000Like!を獲得した。
Coca-ColaとPepsiもソーシャルを舞台に火花を散らした。まずは、Coca-Colaが2週間前にリリースしたティザーCM“Coke Chase”をご覧ください。

「砂漠のオアシス」ならぬ「砂漠のCoke」をCOWBOYS・SHOWGIRLS・BADLANDERSの三者が争うというCM。誰に勝って欲しいかをオンライン投票で決定し、ファンが望む結末をスーパーボールでオンエアするという仕掛け。つまり、PepsiはCoca-ColaがどんなCMをオンエアするかは想像がついていた訳で、Twitterで切り返しを狙っていた。

“Forget what happens at the end of #CokeChase, check out what happened behind the scenes”(Coke Chaseがどうなったかなんて忘れて、撮影の裏側で起こったことに注目しよう)

Coca-colaの撮影に参加した出演者が撮影終了後、隣にCoca-colaのベンダーがあり、Pepsiのベンダーが不調であるにも関わらず、Pepsiのベンダーを破壊してまでPepsiを飲みたい...と。
更に、このPepsiの切り返しを予期していたかの如くCoca-colaが放った「切り返しの切り返し」がこれ。

「光栄です。Coca-colaファンのPepsiさん」と言った所だろうか。図ったような応酬ですね。
そして、ソーシャルメディアのコメント数が多かったTVCM Top10がこちら(bluefin調べ)。「人気ランキング」が様々なメディアから発表されていますが、ソーシャルメディアのコメント数を基準にすると、ポジもネガもコメントとしてカウントされるので順位はかなり変わってきます。

ランキングの中で気になった作品を紹介します。
#1:“Farmer”Dodge Ram

クライスラーがここ2年続けた2分の長尺社会派CMを今年も継続。今は亡き名アナウンサー“Paul Stanley”によるスピーチ"So God Made a Farmer"(神は農夫を創った)をバックに数々の農業の写真が映し出される。ここ2年と同じく米国民の心を揺さぶり奮い立たせる内容になっている。
#4: "Brotherhood"Budweiser

Budweiser恒例のClydesdales。馬を育て上げ、Budweiserに引き渡したにも関わらず、3年後育て主を探して馬が舞い戻ってくる。このシリーズはいつも人気が高いです。
#7:“Big Kiss!”GoDaddy.com

GoDaddyは、米国最大のネット基盤サービス企業。スマート代表“Bar Refaeli”とスモールビジネス代表“Walter”のショッキングな激しいキス。ネガティブコメントが34%を占めるのは頷けます。CBSはよくぞオンエアを許可したなぁと思います。
#10:“Stain Savers”Tide

洋服に偶然ついたシミの絵柄の上からStain Saverなるシールを貼ってTideで洗うことで、シミをデザインに変えてしまうというジョークCM。Tatooにまでしてしまうオチがついていて、エイプリルフールのような仕掛けです。
CM枠として世界最大の威力を持つスーパーボールを通じたコミュニケーションの主戦場もソーシャルへ移行していることを鮮明化する結果となりました。それと同時に、米国では今一つ勢いが無さそうなイメージがあったTwitterのパワーを見せつけられた感じもしました。