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カンヌ・グランプリ速報4〜今こうしている間にも変化する業界の領域


カンヌ最終日の日曜日は、Film Grand Prix, Branded Content Grand Prix, Film Craft Grand Prix, Titanium Grand Prixが発表された。
Film Grand Prixを受賞したのはCHIPOTLE“Back To Start”。
CHIPOTLEとはメキシコ料理チェーン店なんだけど、個人経営の農場を工業的な現代風の農場に変えてみたけど、それが誤ちであると気づき、昔の方法に戻す(=BACK TO START)というストーリーのミュージックビデオ。曲はCOLDPLAYの“THE SCIENTIST”で、カントリーのレジェンド“Willie Nelson”がカパーするという豪華な布陣。
大量生産大量消費の現代の方法論に自戒の意味も込めて警鐘を鳴らす社会派コンテンツという趣向が評価されたんだと思います。

今年から新設されたBranded Content Grand PrixもCHIPOTLEが受賞。こちらは“Back To Start”のコンテンツを活用した“Cultivare Better World”なるキャンペーンが評価された。
“Back To Start”をiTunesで購入すると、その一部が食肉農場の環境整備に寄付されたり、食肉農場について学ぶプログラムを提供したり、ライブ&フードのイベントを開催するなど...、“Back To Start”で注目を集めつつ、様々なコンテンツを提供した。
“Back To Start”は広告業界へのメッセージかも知れません。

Film Craft Grand Prixはフランスの放送局・CANAL+の"The Bear"が受賞。
Film Craft Grand Prixは映像技術に対する評価なので、作品の面白さは評価対象外であるとは思いますが、熊の敏腕ディレクターという設定の面白さは今一つ理解できません。

Titanium Grand Prixはまたもや“Nike+ Fuelband”。“Cyber Grand Prix”に続く二部門制覇となった。
Fuelbandの前身であるNike+も2007年に受賞している。こういう作品が受賞することがカンヌ・ライオンから「広告」という文字が消える理由なんですね。

これで全ての部門の発表が終了した。CHIPOTLEを初め、社会問題に対してアプローチするプロジェクトがいくつかグランプリを受賞したし、Nike+Fuelbandのように完全に広告では無いデバイスが二部門受賞した。今こうしている間にも業界の領域というのが毎秒単位変化しているというのを改めて感じた今年のカンヌでした。