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疑わしい「夢」「共感」世にはばかる


企画作業でラビリンスに陥った時、逃げの一手で、とりあえずあてがいたくなる言葉の1つに「夢」がある。この言葉、ほとんどの企業にフィット“しない”言葉であるが、悪い気がしない前向きな言葉とあって採用する企業も多い。しかし、数少ないがしっくりくる企業もある。その1つが「ホンダ」であり、創業者のチャレンジングなイメージやASIMOを初めて拝んだ時の残像が「ホンダ」と夢を強く結び付けている。
そんな「ホンダ」が2009年初頭から「不可能へのチャレンジ」をテーマにドキュメンタリー・ショートフィルムをリリースしている。そして、この度、開催中のSundance Film Festivalで6作目を発表した。タイトルは“Living with Robots”。
フィルムのハイライトはASIMOの開発であり、その苦労に満ちたプロセスをホンダ関係者が語っている。また、“Star Trek” や “Transformers” のスクリーンライター“Roberto Orci”や“Alex Kurtzman”も出演している。
作品は、前5作と共にdreams.honda.comにアーカイブされている。(前5作は画面左上の“SHORT FILMS”より)
外から見ているだけで実際はわからないが、「ホンダ」という企業はつくづく「少年のよう」だと思う。F1にしろ、ASIMOにしろ、そこに採算性や戦略上の意味があったかどうかはわからないが、本能のままに行動した結構無謀なアプローチであったのではないか? しかし、それが今日の「ホンダ」の魅力の大部分をつくっているのであり、人の究極の本性に従うことが最上級の共感を得る唯一の方法ではないかと思ふ。企画作業で「生活者の共感を得るために...」と軽々しく語るのは少し控えようと思ふ。