Campaign_Otaku

Campaign, more than anything

顔の動きを移植する


Kyle McDonaldが手掛けた“Sharing Faces”。あなたの顔の動きを検知し、その動きを見知らぬ第三者にリアルタイムで移植するというプロジェクトだ。ビデオにあるように、あなたの顔の動きをキャメロン・ディアスに移植することもできるし、この場に居ないキャメロン・ディアスの動きを、この場に居ないジョン・マルコビッツに移植することもできる。
大がかりに撮影・編集した素材では無く、インターネットで拾ったレベルのビデオの中の人物に移植が可能というのが凄い。

2007年にこのプロジェクトをスタートした時、ネーミングは"Sabine"(ローマに侵略された民族)。当初は全身の動きを移植することを目指していたそうなんだけど、紆余曲折を経て今のカタチになったのが2010年頃。
そして、韓国と日本の未解決な歴史問題の融和に貢献すべく、2014年、Kyleが韓国のAnyangと山口を繋いで、双方の人の顔写真を自動撮影しつつ、互いの顔の動きを相手国の人の顔写真に移植し合うイベントを開催していたそうだ。

この技術を使って自分の分身にモノマネしたいタレントの動きをインプットして、練習に励む...というようなこともあるのではないか。コロッケさんとかに提供すると面白いことが起こるかも。

David FincherでGAPの世界観ががらっと変わった


ここ数年、GAPは元気で陽気なイメージ、ポップな色合いをプッシュしていた。しかし、この秋、David Fincherを起用して制作されたフィルムでは180度イメージを反転させ、得体の知れない物語を語っている。モノクロ映画風の渋い世界でGAP得意のセレブリティの起用も無い。
"Dress Normal"と名づけられたこのキャンペーンのために4本のフィルムが公開された。"Normal"ってファッションブランドにとっては使いづらい言葉の1つだと思うけど、このNormalとはあなたにとってのNormalであり、それは他の人とはDifferentであり、ファッション界におけるNormalを再定義する...みたいな感じらしい。Stylish, Sophisticated, Exceptional...とか、よくある自画自賛ワードを使わない所が主張なのだろう。
The uniform of rebellion and conformity.

後部座席で女が行儀悪くパンツを脱ぐだけのシーン。「反逆と服従のユニフォーム」という言葉が意味深だ。これまで服従し続けてきた不快な服への反逆...Normalに着よう...みたいな。
Let your actions speak louder than your clothes.

服よりもアクションがあなたを物語る。アクションをサポートするために...Normalに着よう...みたいな。この例え話としてゴルフ打ちっ放し場で踊るというのはシュールだなぁ。
Dress like no one's watching.

キスに没頭する男と他人の目が気になる女。Normalに着れば、リラックスできて、人の目などどうでも良くなるのか?
Simple clothes for you to complicate.

階段の上に居るいい女に服を届けるお遣い男。推測するに駆け上がった瞬間、男にとってかなりいいことが起こったハズ。シンプルに着ると複雑なことが起こる...まぁ、男の夢ですね。
こんな風に渋い映画風の世界観を打ち出し、Normalを再定義するGAPですが、お店はどうなのでしょうか? それに見合う世界が広がっているのでしょうか?

イメージが味覚を支配する


多くの人はかなりの部分バイアスに支配されているかも知れない。例えば、朝市で売っている食材は新鮮でおいしくて...一方でディスカウントスーパーマーケットで売っている食材は大量生産で、味は期待できないと思い込んでいる。その思い込みは実際の味覚すらも支配しており、朝市で試食すると何でもおいしく感じ、スーパーで試食すると何でもそこそこに感じる。
こんな人々の思い込みを捉えているのがディスカウントスーパーマーケットの"Lidl"。
東ロンドンの青空市場で肉や野菜、チーズなどの食材を大量生産では無い食材を装って販売した所、食べた人は"最高だね!"を連発。そして、最後に"安いでしょ!Lidlだよ!"っと告げると例の外人得意の笑いが起こり、"Lidlやるね!"みたいな感じが残る。

"Lidl"は以前にも同じコンセプトでキャンペーンを展開している(確かカンヌライオンズで受賞したような)。"Lidl"の食材だけを使ったハイエンドなレストランをオープンさせたのがそれで、勿論客には"Lidl"の食材であることを伏せた状態でサービスした。

イメージは味覚まで支配できるんですね。自分もその兆候があるので冷静にならなければ。