酒場で髭のダンディズム
髭を生やしたことがないので、髭の人がドリンクを飲む際に髭が液体に浸ってしまうという問題が存在することを全く知らなかった。そして1800年代から続くこの髭男たちの悩みに終止符を打つのがこのハンドメイドの"Whisker Dam"。これがあれば、どんな豊かな髭をお持ちの方でもドリンクに浸ることは無いだろう。
価格は20ドル。安いか高いかはわからない。欧米だと11月が"Movember"(髭を伸ばして男性の癌に対する意識を高め募金を呼び掛ける世界的なキャンペーン)なので、役立ちそうなツールだ。そうでなくてもダンディな人が酒場でさっとこの"Whisker Dam"を取り出して使うとかなり渋いかも知れない。
クリエーティブの会議室にビールが必要になる時代がやって来た
世界の多くの素晴らしいアイデアや発明はビールと共に生まれた(らしい)。Jennifer Wiley教授(イリノイ大)の研究によると人体におけるアルコールレベルが平均0.075%の状態が最もクリエーティブシンキングに適しているとのこと(マリファナでも同じような研究結果がある。人間は幻覚症状になる一歩手前が脳が働きやすいということだろうか)。
そして、クリエーティブシンキングが世の中の難題を解決できると信じているイリノイ大から4,000マイル離れた"CP+B Copenhagen"がこの研究結果を次のレベルへと引き上げるべく開発したのがハンドクラフトビール"The Problem Solver"。このボトルにはインジケーターがプリントされており、体重に応じて、0.075%になる量がわかる仕組みになっている。
これはクリエーティブエージェンシーのセルフプロモーションであり、商品が量産される訳ではないですが、機能性飲料とは縁の無いような領域でのアイデアというのが、素晴らしいです。
カメラではないカメラ
カメラ型に象られた木製のキーホルダーか、または自分の部屋のドアにかけておく、部屋にいる/いないを表示するカメラ型ボードか...と思いきや、これは立派なカメラのようだ。ハッカー集団"NYC Resistor"のOlivia Barrが開発した"Not-A-Camera"は2Dの見た目とは裏腹にレンズとマイクが仕込まれたHDスチール&ビデオカメラだ。
フロント部分左側の小さな穴がレンズであり、その横にマイクがセットされている。
裏面にはシャッターとパワーボタンの位置が記されている。
薄さは僅かに5mm。
この"Not-A-Camera"はOliviaの101才になる祖母のために簡単操作を追求すべく造ったカメラであり、現在、量産・市場で販売すべく細部を詰めている所。また、Estyでは既に150ドルで販売している。
"Not-A-Camera"...良いネーミング! 新しいタイプのカメラとして革命を起こすかも。
小さなOreoの物語
米国のクッキープランド"Oreo"が僅かクウォーターほどのサイズのミニバージョンを送るサービス"Oreo Mini Deliveries"を実施した(8月22日終了)。マイクロサイトで申し込んで、自宅や友人宅に送ることができるこのサービスは、毎日500人限定(先着)となっている。500人に入ることができなかった人にはOreoの愉快なGIFデータがプレゼントされる。
加えて、米国内で最も小さな50の町を選び、それらの町に暮らす全ての家庭にこの小さなOreoをささやかなプレゼントとして送った。
以下が小さな町に暮らす人々に届けられるまでのイメージだ。(馬車ってのがいいなぁ)
"Oreo Mini Deliveries"はOreoが6月にリリースした広告"Mel's Mini Mini Mart"に連動して実施された。
"Mel's Mini Mini Mart"という小さな店を覗いてみると、そこには小さなOreoがあった...という物語。ポエム風の語りがとても良い感じです。
"Contagious"によると、サンプリングの方法が秀逸で、規模よりも希少性を追求した所が良かったとのこと。また、素敵な写真を撮ってInstagramで共有したくなるようなイメージ写真がパッケージに同梱されていたようです。
そして、この"Oreo Mini Deliveries"によって通常サイズの少量パック(甘い物を控え目に食べる健康パック)のOreoが随分売れているようです。
Oreoって誰もが知っている、食べたことがあるクッキーだけに「いつでも手に入る感・知っている感→だから今わざわざ買わなくても...」という既知感バリアを乗り越えるのが大きな問題である訳ですが、小さくするだけで急に魅力的に、かわいく見えてしまうというのが面白い。勿論、広告でのストーリーテリングが伏線になっている訳ですが、興味深いです。
世界の矛盾に一石を投じるアイデア〜廃棄処分の野菜や果物を販売
スーパーマーケットの調達部門は食材の完全性を求める。よって形の悪い野菜や果物は廃棄処分に回されてしまう。見た目が悪いだけで、中身は遜色無いにも関わらず...。世界を見ると飢餓や栄養不足に苦しむ人がまだまだ多い中、大きな矛盾だ。
そんな矛盾に満ちた世の中に一石を投じる‘Inglorious Fruits & Vegetables'なるキャンペーンを仕掛けたのはフランス第三位のスーパーマーケットチェーン"Intermarche"。
Ridiculous Potato(おかしなポテト), Hideous Orange(ぞっとするオレンジ), Failed Lemon(レモン失敗作), Disfigured Eggplant(醜い茄子), the Ugly Carrot(かわいそうな人参), Unfortunate Clementine(不幸なクレモンティーヌ)などのユニークなネーミングで、形の悪い野菜や果物を販売した。しかも、30%Offで!!
また、それらを使ったスープなど加工食品も開発し、販売。大人気商品となった。
日本でも野菜や果物は勿論、パッケージが凹んだお菓子や缶詰なども廃棄されることが多いと聞きます。食糧自給率が問題ならば、こういう取組みを見習うべきですね。